ニュースで「PFAS(ピーファス)」という言葉を見て、家の水道水が気になった。浄水器を付けたほうがいいのか、ウォーターサーバーに替えたほうがいいのか。そう考えた人に向けた記事です。
先に書いておくと、この記事は「PFASが心配だから、何かを買いましょう」という記事ではありません。何が決まっていて、どこで確認できて、何を見て選べばいいのかを、公的機関と各社が公開している情報の範囲で整理します。
PFASについて、いま何が決まっている?
PFASは、有機フッ素化合物をまとめて呼ぶときの名前です。1つの物質の名前ではありません。その中で、水道水とミネラルウォーターに基準が設けられているのは、PFOS(ピーフォス)とPFOA(ピーフォア)の2つです。
水道水では、2026年4月1日から、PFOSとPFOAが水質基準に加わりました。基準値はPFOSとPFOAの合算で1Lあたり50ng(ナノグラム)以下です。それまでは2020年から「水質管理目標設定項目」として、同じ50ng/Lの暫定目標値が置かれていました。目標値から、守るべき基準に変わった、ということです(環境省)。
ミネラルウォーターにも、同じ考え方の基準があります。消費者庁によると、殺菌・除菌を行うミネラルウォーター類には、PFOSとPFOAの合算で50ng/Lという成分規格が設けられました。殺菌・除菌を行わないものについては、50ng/Lを「人の健康を損なうおそれのない濃度」として当面の間の目安とし、泉源の衛生管理を適切に行うことが求められています。
健康への影響については、食品安全委員会が2024年6月に評価をまとめています。PFOS・PFOAそれぞれについて、一生涯とり続けても健康に影響が出ないと推定される量(耐容一日摂取量)を、体重1kgあたり1日20ngとしました。そのうえで、日本人が普段の食生活でとっていると推定される量はこれより低く、「通常の一般的な食生活を送っている人たちへの影響について、著しい健康影響が生じる状況にはないものと考えられます」としています。あわせて、今後科学的な知見が集まれば、あらためて評価する可能性があることも示しています。
環境省のQ&A集でも、国内でPFOS・PFOAの摂取が主な原因とみられる個人の健康被害の事例は確認されていない、とされています。
ここまでをまとめると、基準があるのはPFOSとPFOAの2つで、数字は水道水もミネラルウォーターも合算50ng/L。これが、ほかの情報を読むときの物差しになります。
まず、自分の水道水の検査結果を確認する
浄水器やサーバーを考える前に、最初にやってほしいのは自分の家の水道水の検査結果を見ることです。
水道事業者(多くは市町村の水道局)は、水質基準に沿って水道水を検査しています。PFOS・PFOAの検査は、おおむね3か月に1回以上が基本とされています。水道の種類や過去の検査結果によっては回数を減らせる場合もあるため、実際の頻度は水道事業者ごとに違います。
検査結果は、水道事業者のサイトで公表されていることが多いです。「(お住まいの市町村名) 水道 PFOS」などで検索すると見つかりやすいと思います。
たとえば横浜市は、PFASの検査結果を専用のページで公表しています。2011年度から浄水場で測定を続けていて、「これまで水道水、水道原水ともに水質基準値50ng/Lを超過したことはありません」と説明しています。
自分の地域の結果が見つかったら、合算50ng/Lという基準と比べて、どのくらいの値なのかを見てください。ここで大きく下回っていれば、PFASを理由に水の選び方を変える必要性は、それほど高くないかもしれません。
水道水そのものの考え方は、水道水のままでいいかを考えた記事でも整理しています。
水道水・浄水器・浄水型サーバー・宅配水で、確認するものが違う
検査結果を見たうえで、それでも気になる。あるいは、家の水を見直すついでにPFASのことも考えておきたい。そういう場合は、選択肢ごとに確認する場所と中身が違うことを知っておくと迷いにくくなります。
| 何を確認するか | どこで確認するか | |
|---|---|---|
| 水道水 | PFOS・PFOAの検査結果(合算50ng/Lと比べてどうか) | 水道事業者(水道局など)のサイト |
| 浄水器 | PFOS・PFOAの除去性能を、どんな試験で確かめたか。総ろ過水量と交換時期 | メーカーの案内、浄水器協会の試験適合製品一覧 |
| 浄水型ウォーターサーバー | 使う機種・カートリッジがPFOS・PFOAの対象になっているか。交換時期 | 各社の公式サイト・FAQ。案内がなければ問い合わせ |
| 宅配水(天然水・RO水) | PFOS・PFOAを検査しているか、その頻度と結果。水の処理方法 | 各社の水質検査結果ページ・FAQ |
※2026年9月時点の公的機関・各社公式サイトの情報をもとに整理しています。
表のとおり、「PFASに対応しているか」を確かめる方法は、選択肢ごとに違います。水道水なら水道事業者の検査結果、浄水器や浄水型サーバーなら除去性能をどう確かめたか、宅配水なら水そのものをどう検査しているかです。
各社の公式サイトを見ると、書き方にも違いがあります。いくつか例を挙げます(どれがよいという比較ではなく、書き方の違いを見るための例です)。
- 浄水型のエブリィフレシャスは、PFOS・PFOAを除去できると案内していますが、対象はハイグレードタイプのカートリッジです
- 浄水型のLoccaは、PFOS・PFOAを除去できると案内したうえで、「ろ過能力は、ウォーターサーバーごとに異なります」としています
- 天然水のプレミアムウォーターは、水質検査でPFOS・PFOAは「検出されておりません」と案内しています
- RO水のアクアクララは、RO膜(逆浸透膜)を通過できないため製品水に混入しない、と説明しています
同じ「浄水型」でも、カートリッジや機種によって対象かどうかが変わることがあります。逆に、公式サイトにPFOS・PFOAの案内が見当たらない製品もあります。書かれていないというだけで「できない」とは限らないので、気になる場合は申し込み前に問い合わせてみてください。
「PFAS対策」という言葉だけで選ばない
「PFAS除去」「PFAS対策」という言葉を見ると、PFASなら何でも取り除けるように感じるかもしれません。でも、ここまで見てきたとおり、基準があるのはPFOSとPFOAの2つです。表示を見るときは、次の5つを確認すると中身が分かりやすくなります。
対象の物質は何か。 「PFAS」と書いてあっても、この記事で見た各社の案内で確認されているのはPFOSとPFOAでした。ほかのPFASまで対象かどうかは、表示だけでは分かりません。
どんな試験で確かめたか。 浄水器については、浄水器協会が2023年10月に、PFOS・PFOAの試験方法を協会の自主規格として定めています。試験方法では、PFOS・PFOAを含む水を流し、除去率が80%に下がるまでに何Lろ過できるかを調べます。同協会は、試験に適合した製品の一覧も公開しています。一方で、この試験方法をJIS(日本産業規格)に加えることは「検討中」としています。つまり、国の統一された表示ルールとして決まっているわけではない、という点は知っておいてください。
どの製品が対象か。 同じメーカーでも、カートリッジの種類や機種によって対象かどうかが変わることがあります。自分が使う予定の組み合わせが対象になっているかを確認します。
交換時期はいつか。 浄水器の除去性能は、ろ過した水の量が増えるほど下がっていきます。試験で確かめられているのは「ここまでの量なら除去できる」という範囲です。交換時期を過ぎて使い続ければ、同じ性能は期待できません。
検査の頻度と、結果の公表。 宅配水の場合は、どのくらいの頻度で検査しているか、結果をどこで公表しているかを見ます。「検出されていない」という案内も、いつ・どの水を検査した結果なのかまで確認できると安心です。
まとめると、見るべきなのは「PFAS対策」という言葉ではなく、何を対象に、どんな試験をして、どの条件で確かめたのかです。
自分に必要な対策を考える
ここまでを踏まえて、どう考えればいいかを整理します。
水道水の検査結果が基準を大きく下回っているなら、PFASだけを理由にお金をかけて何かを替える必要性は高くないかもしれません。ほかに不満がなければ、今のままという選択も十分ありです。
それでも気になる、あるいは味やにおいなど別の理由もあって水を見直したいなら、PFOS・PFOAの除去性能が確かめられた浄水器や浄水型サーバー、検査結果を公表している宅配水が選択肢になります。どれにするかは、PFASだけでなく、費用・手間・置き場所で決めることになります。
- 浄水器とウォーターサーバーのどちらにするか → 浄水器と比べた記事
- 浄水型と宅配型のどちらにするか → 浄水型と宅配型を比べた記事
- 浄水型の中で、水道直結型と給水型のどちらにするか → 水道直結型と給水型を比べた記事
- 宅配水の中で、天然水とRO水の違いを知りたい → 天然水とRO水の違いを整理した記事
まとめ:「PFAS」という言葉より、確認できる中身を見る
- 水道水とミネラルウォーターで基準があるのはPFOSとPFOAの2つ。どちらも合算50ng/Lが物差しになります
- 食品安全委員会は、普段の食生活での推定摂取量は耐容一日摂取量より低いとしています。ただし、今後の知見によって評価が見直される可能性もあります
- 最初にやることは、自分の水道水の検査結果を確認すること
- 浄水器・浄水型サーバー・宅配水は、それぞれ確認するものが違います
- 「PFAS対策」という表示は、対象物質・試験の基準・対象製品・交換時期・検査の頻度まで見て判断します
水道水・浄水器・定期便・ウォーターサーバーを並べて考え直したいときは、4つの選択肢を比較した記事から全体を見てみてください。


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