停電・断水のとき、ウォーターサーバーの水は使える?

必要性を考える

「もしものときに水があると安心だから」。ウォーターサーバーを検討する理由として、これはよく挙がります。実際、各社の公式サイトにも「備蓄水として使えます」という案内があります。

ただ、ここには一段の飛躍があります。「家に水がある」ことと、「停電したときにサーバーから水が出る」ことは別の話だからです。

この記事では、公式が公開している情報の範囲で、停電・断水のときに何が起きるのかを整理します。先に結論を書いておくと、ウォーターサーバーは停電しても必ず使える非常用設備ではありません。ただし、普段から家に水を置いておく仕組みとしては、備蓄と組み合わせて考えることができます。

断水のときと、停電のときは分けて考える

断水と停電で起きることが違う(断水だけならサーバーは普段どおり動く/停電が起きると水が出るかは機種によるという2つのケースを比較した図解) 断水と停電で起きることが違う(断水だけならサーバーは普段どおり動く/停電が起きると水が出るかは機種によるという2つのケースを比較した図解)

まず、この2つは性質が違います。

断水だけなら、水道が止まってもボトルの水は家にあります。電気は来ているので、サーバーも普段どおり動きます。ここは「家に水がある」ことがそのまま強みになる場面です。

停電が起きると、話が変わります。サーバーは電気で水を冷やしたり温めたりしているので、電気が止まれば冷水も温水も作れません。そして、そもそも水が出るかどうかも機種によって変わります。

そのうえで、停電が長引いた場合には、また別の注意が出てきます。ここは後半で扱います。

災害時に水道水・ペットボトル・サーバーのどれが使えるかという全体像は、水道水のままでいい?でも触れています。この記事はそのうちサーバーの部分を詳しく見ていきます。

停電時に水が出るかは、機種によって違う

プレミアムウォーターの公式FAQは、停電時の出水を3つに分けて案内しています。

  • 給水できない機種:「停電時に出水することはできません。」
  • 給水できる機種:「停電時でも出水(飲用)可能です。」
  • 重力で給水する機種:タンク内に給水されている状況であれば、比重落下のため約2L程度出水する

注目したいのは3つ目です。重力で落ちてくる分だけなので、公式が挙げている目安は約2L程度。12Lのボトルが載っていても、そこから自由に使えるわけではない、ということです。

停電時・復旧時の操作も案内されています。停電したら、まずHOTスイッチ(温水スイッチ)をOFFにしてから電源プラグを抜く。復旧したら5分以上経ってからプラグを差し込み、HOTスイッチをON。約40分以上で適温になる、とされています。

一方、アクアクララの公式FAQは「停電時は電源プラグを抜くことをお勧めします。ただし、ボトルは抜かず挿したままにしてください」「停電復旧後はできるだけ速やかに電源プラグを差し込み、そのままご使用ください」と案内しています。停電中に水が出るかどうかについては、確認できる範囲では案内が見当たりませんでした。 書かれていないというだけなので、この記事では出る/出ないのどちらとも判断しません。

アクアクララプレミアムウォーター
電源プラグ抜くことをお勧めHOTスイッチをOFFにしてから抜く
ボトル抜かず、挿したまま案内の記載は確認できず
停電中に水が出るか公式FAQで確認できる範囲では案内が見当たりません機種による(出水不可/出水可能/重力給水で約2L程度)
復旧したらできるだけ速やかにプラグを差し込み、そのまま使用5分以上経ってからプラグを差し込み、HOTスイッチON。約40分以上で適温

※2026年9月時点の各社公式FAQの案内をもとに整理しています。機種によって異なります。特定のサービスをおすすめするためではなく、停電時の案内の違いを見るための例として並べています。「案内が見当たりません」は、できないという意味ではありません。

ここから言えるのは、「ウォーターサーバーは停電のときどうなるのか」という質問に、一般論で答えることはできないということです。答えは機種の給水方式にあります。検討している機種について、各社のFAQか取扱説明書で確認するしかありません。

サーバーが使えなくても、ボトルの水を使える場合がある

ここは見落とされやすいところです。サーバーから水が出なくても、ボトルの中の水そのものは家にあります。

プレミアムウォーターは、非常用コックというパーツを一部の機種に付属させています。公式FAQでは「停電等の非常時にウォーターサーバーの電源が入らない際に、お水ボトルに直接差し込むことでウォーターサーバーを通さずにお水を注げるようにするためのパーツ」と説明されており、対象はスリムサーバー4、famfit2、AURA Water Server、amadanaグランデサーバー、famfit の5機種とされています。

ただし、使い方には条件が付いています。

  • 「非常用のため、平時でのご利用はお控えください」とされている(普段使いのパーツではない)
  • 使用後のボトルはサーバーにセットしない
  • プレミアムウォーターのボトルのみ対応

つまり、非常用コックは「どのサーバーにも付いているもの」ではありません。自分が検討している機種に付属するのか、付属しない場合にボトルの水をどう扱えばいいのかは、契約前に各社の案内で確認できる項目です。

災害時に必要な水はどれくらい?

そもそも、どれくらいの量があれば足りるのか。ここも資料によって前提が違います。

出典案内されている目安
農林水産省飲料用と調理用だけで1人1日3リットル。最低3日分(1人あたり9L)。湯せんや食器を洗う水は別途必要とされている
アクアクララ食事由来も含めて1人1日あたり約3L。3日分の備蓄が望ましい。4人家族で36L=12Lボトル3本分
プレミアムウォーター4人家族の1週間分として84L=12.5Lボトル約7本

※算定の前提(水の用途に何を含むか、何日分を想定するか)が資料によって異なります。どれが正しいということではなく、想定する日数によって必要量が変わる、という読み方をしてください。

農林水産省は「飲料用と調理用だけで一人当たり1日3リットルの水が必要」とし、最低3日分の備蓄を呼びかけています。さらに「湯せん、食品や食器を洗ったりする水は別途必要」とも書かれています。3L×3日=9Lは、飲む・作るための最低限であって、洗う分は入っていません。

各社の案内も見ておきます。アクアクララは「食事由来も含めて1人1日あたり約3L」「3日分の備蓄を用意することが望ましい」として、4人家族なら36L=12Lボトル3本分という例を挙げています。プレミアムウォーターは4人家族の1週間分として84L=12.5Lボトル約7本を挙げています。

注意したいのは、3つとも前提が違うことです。農水省は飲用と調理用だけで3L、アクアクララは食事由来も含めて約3L。想定日数も「3日」と「1週間」で分かれています。どれが正しいという話ではなく、何日分を想定するかで必要な本数が変わると読むのが正確です。

なお農水省のページは、備蓄の方法として市販のペットボトル、ウォーターサーバーの水、水道水、長期保存水を並べて挙げています。ウォーターサーバーが特別扱いされているわけではなく、選択肢のひとつとして挙がっている、という位置づけです。ペットボトルとの違いは買い出し・保管・ゴミで比較した記事で整理しています。

「サーバーがあるから備蓄は不要」ではない

ここまでを踏まえると、この見出しの答えは出ています。

停電時に水が出るかは機種によって違い、出る機種でも重力式なら公式の目安は約2L程度。非常用コックは一部の機種に付属するもので、すべてのサーバーにあるわけではない。そして必要量の目安は、飲用と調理用だけでも1人1日3Lです。

サーバーに載っているボトルは、通常1本です。 「サーバーがあるから大丈夫」と考えると、手元にある水の量を実際より多く見積もることになりかねません。

逆に言えば、ストックのボトルが家に何本あるかが実質的な備蓄量になります。これはサーバーの機能の話ではなく、注文量と置き場所の話です。ストックを置く場所まで含めた考え方は置く場所から考えた記事にまとめています。

保存できる期間も押さえておく必要があります。アクアクララは「未開封の状態で製造日より6カ月(180日)」、プレミアムウォーターは未開封の状態で製造から約6か月としています。長期保存用の飲料水とは違い、置きっぱなしにできる期間はそれほど長くありません。

停電が長引いたときに注意したいこと

短時間の停電と、長期化した停電は分けて考える必要があります。

プレミアムウォーターの公式FAQには、こう書かれています。「通電することでお水の鮮度を保ちますので、停電が長期化し高温多湿な状況の場合は、ご利用をお控えいただき、カスタマーセンターまでご連絡ください」

つまり、サーバーにセットされたままの水は、停電が長引いた場合には「そのまま使えるとは限らない」扱いになります。

これは不安を煽る話ではなく、数え方の整理です。サーバーの中の水と、未開封のストックは、別のものとして数える。 備えとして当てにできるのは、後者のほうだということになります。

ウォーターサーバーを災害対策として考えるなら、何を見る?

ウォーターサーバーを災害対策として考えるなら何を見る(停電中に水が出るか・ボトルを直接使う手段があるか・普段のストック本数・保存できる期間の4項目を整理した図解) ウォーターサーバーを災害対策として考えるなら何を見る(停電中に水が出るか・ボトルを直接使う手段があるか・普段のストック本数・保存できる期間の4項目を整理した図解)

ここまでを、契約前に確認できる形にまとめます。

検討している機種は、停電中に水が出るのか。 給水方式によって変わります。各社のFAQか取扱説明書に書かれています。

サーバーを通さずにボトルの水を使う手段があるか。 非常用コックのようなパーツは、付属する機種としない機種があります。

普段、家にボトルが何本ストックされている状態になるか。 サーバーに載っている1本ではなく、ストックの本数が実質的な備蓄量です。注文量・配送ペース・置き場所で決まります。

保存できる期間はどれくらいか。 未開封で約6か月という案内が複数社にあります。長期保存水とは前提が違います。

そのうえで、もうひとつ考えてみてほしいことがあります。サーバーを災害対策として考えるなら、普段から水を使いながら備蓄を維持できるかを考えてみましょう。 買い置きを増やすだけだと期限切れが出ますが、日常的に使っているものなら、使った分が補充されていきます。これは公式が言っていることというより、ここまでの情報を並べたときに見えてくる、この記事なりの整理です。

自分の家で月にどれくらい水を使いそうかは、月に何L使うかを世帯別に計算した記事で見積もれます。

まとめ:サーバーではなく「家に水がある状態」をどう作るか

  • 断水だけなら、家にボトルがあることはそのまま強みになります。停電が絡むと、水が出るかどうかは機種によって変わります
  • 重力で給水する機種の場合、公式が挙げている目安は約2L程度です。載っている12Lが自由に使えるわけではありません
  • 非常用コックのようなパーツは一部の機種に付属するものです。すべてのサーバーにあるわけではありません
  • 必要量の目安は、飲用と調理用だけで1人1日3L。何日分を想定するかで必要な本数が変わります
  • サーバーの中の水ではなく、未開封のストックが何本あるかが実質的な備蓄量です。保存できる期間は未開封で約6か月程度という案内が複数社にあります
  • ウォーターサーバーは「停電しても必ず使える非常用設備」ではありません。ただし、普段から家に水が置かれている状態を作る仕組みとしては、備蓄と組み合わせて考えられます

水道水・ペットボトル・定期便と並べて考えるなら、4つの選択肢を比較した記事から見てみてください。サーバーに絞って条件を見ていく段階なら、宅配型ウォーターサーバー、選ぶときは何を見る?で注文量・配送ペース・置き場所まで含めて整理しています。

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