「一人暮らしだと、そんなに水を使わないんじゃないか」「契約しても余らせてしまいそう」——ウォーターサーバーを検討し始めたとき、一度はこう思ったことがあるのではないでしょうか。
たしかに、一人暮らしなら家族世帯ほど水を使わないのは事実です。ただ、「使わないから向いていない」と決めつける前に、もう少し具体的に考えてみる価値があります。というのも、ウォーターサーバーには大きく分けて「使っても使わなくても定額」の浄水型と、「使った分だけ増える」天然水型があり、この2つは使用量によって有利不利がはっきり逆転するからです。
この記事では、①健康のために必要な水分と、ウォーターサーバーで実際に使う水は別物であることを整理したうえで、②一人暮らし・二人暮らしの使用量の目安、③使用量別の料金シミュレーション、④浄水型と天然水型どちらが得になりやすいかを、具体的な数字で見ていきます。結論を先に言うと、「ウォーターサーバーを選ぶ前に、自分が月何Lくらい水を使うのかを知る」ことが、実はサーバー選びの一番の近道です。
「1日に必要な水分」と「サーバーで使う水」は違う
まず整理しておきたいのが、「人間が1日に必要とする水分量」と「ウォーターサーバーで使う水の量」は、似ているようでまったく別の話だということです。
厚生労働省の資料によると、日本人成人(30〜76歳)を対象にした実測調査では、1日あたりの水分摂取量は平均2,230g(男性2,423g、女性2,037g)というデータがあります。ただし、この数字の内訳を見ると、食物由来が1,130g(51%)、飲物由来が1,100g(49%)と、およそ半分は食事(ご飯やスープ、野菜などに含まれる水分)から摂取されているものです。また、「健康のため水を飲もう」推進運動でも、体内に入る水の総量約2.5Lのうち、飲料水が約1.2L、食事由来が約1.0L、体内で作られる代謝水が約0.3L、という目安が示されています。
つまり、「1日2.2L」や「飲み水1.2L」といった数字は、あくまで人間が生きるために必要な水分の総量の話であり、しかもその中には食品にもともと含まれている水分も含まれています。
一方、ウォーターサーバーで実際に使う水は、①そのまま飲む②コーヒーや紅茶を淹れる③料理で鍋やケトルに注ぐ、といった「サーバーから注いで使う水」だけです。米を炊いたときにお米自体が持っている水分などは含まれません。
ここを混同して「1日2L必要だから、月に60L使うはず」と単純に掛け算してしまうと、実際の使用量とはかなりズレた数字になってしまいます。この記事で考えたいのは、あくまで「サーバーから実際に注いで使う水の量」です。
一人暮らし・二人暮らしの実際の使用量
では、実際にサーバーから注いで使う水は、月にどれくらいになるのでしょうか。ここは人によって幅があるため、一つの数字に断定するのではなく、生活スタイル別の目安として考えてみます。
ウォーターサーバーメーカーのフレシャス公式サイトでは、「平均的に1日500mlのペットボトル1本程度を飲むと想定した場合、お一人でも、月に14Lほどの消費となります」という目安が示されています。これは飲用のみの試算ですが、実際にはコーヒーや紅茶、料理にも使う方が多いはずです。そこでこの記事では、次のような使用シナリオを一つの目安として考えます。
一人暮らしの場合
| シナリオ | 1日あたりの目安 | 月間の目安 |
|---|---|---|
| 飲用のみ | 500ml程度 | 約14L(フレシャス公式の目安) |
| 飲用+コーヒー・紅茶 | 800ml程度 | 約24L |
| 飲用+コーヒー・紅茶+料理 | 1.2L程度 | 約36L |
二人暮らしの場合(単純に人数分に加え、生活を共にする分をやや効率化した目安)
| シナリオ | 月間の目安 |
|---|---|
| 飲用のみ | 約28L |
| 飲用+コーヒー・紅茶 | 約45〜50L |
| 飲用+コーヒー・紅茶+料理 | 約55〜60L |
厚労省のデータやフレシャスの14Lという数字が「体全体の水分収支」や「一つの公式な目安」であるのに対し、24L・36L・28L・45〜50L・55〜60Lという数字は、あくまでこの記事で比較のために置いた使用量モデルです。実際の使用量は生活スタイルによって当然変わってくるので、「だいたい自分はどのあたりか」を掴むための目安として見てください(自分の使用量を具体的に測る方法は、この記事の後半で紹介します)。
浄水型と天然水型、コスト構造がそもそも違う
一人暮らし・二人暮らしの使用量の目安がつかめたところで、次にウォーターサーバーの料金構造を見ていきます。ここが今回の記事で一番大事なポイントです。
浄水型ウォーターサーバー(水道水をろ過して使うタイプ)は、多くの場合「月額定額・使い放題」という料金体系になっています。例えばevery frecious miniは月額3,300円(税込)の定額制で、水道水を使う限り使用量に上限はありません。つまり、同じ定額料金である以上、使用量が多い人ほど1Lあたりの実質コストは下がっていくという性質があります。逆に言えば、あまり使わない人にとっては、定額料金がそのまま「もったいなさ」につながる面もあります。
一方、天然水型ウォーターサーバー(採水地から届く天然水を使うタイプ)は、水そのものを注文して購入するため、使用量に応じて費用が直接増えていきます。例えばdewo miniの場合、天然水1パック(4.7L)が999円(税込)で、1箱=4パック=18.8Lという単位で届きます。使えば使うほど費用がかかる代わりに、使わなければその分は安く済む、という浄水型とは逆の性質を持っています。
ここまでは「浄水型は定額、天然水型は従量」という、比較的よく言われる話です。ただ、天然水型にはもう一つ、見落とされがちな注意点があります。
天然水型は「少なすぎても注意」
天然水型は「使った分だけ」の料金体系なので、一見、使用量が少ない人ほど有利に思えます。ですが、dewo miniの料金には、もう一つの条件が隠れています。
サーバーのレンタル料は、前月の注文が0〜2箱なら月額550円、3箱以上注文していれば0円になる、という仕組みになっているのです。つまり、「使う量が少ないからレンタル料も含めて安く済む」わけではなく、むしろ注文量が少ない月ほど、レンタル料という固定費の負担割合が重くなるという逆転現象が起きます。
さらに、天然水は1箱=18.8L単位でしか注文できません。仮に月14L(飲用のみの一人暮らしの目安)しか使わない場合でも、注文できる最小単位は1箱=18.8Lなので、4.8L分は使い切れずに余ってしまう計算になります。「少ししか使わないから天然水型で十分」と思っていても、実際には注文単位のせいで、思ったより水が余りやすいのです。
使用量別にシミュレーションしてみる
ここまでの内容を踏まえて、実際に「月にどれくらいの水が必要か」を軸に、費用を試算してみます。前提として、every frecious miniは月額3,300円(税込)の定額に電気代目安453円/月を足した合計3,753円/月(使用量に関わらず一定)、dewo miniは1箱3,996円(4パック×999円)にレンタル料(0〜2箱なら550円、3箱以上なら0円)、電気代目安600円/月を足して計算しています。
dewo miniは1箱=18.8L単位でしか買えないため、「必要な量」と「実際に買う量(=余りが出る量)」がズレる点も一緒に見てください。
| 月に必要な量の目安 | every frecious mini(浄水型) | dewo mini(天然水型)で買う箱数 | dewo miniの料金 |
|---|---|---|---|
| 20L程度 | 3,753円 | 2箱(37.6L、約17.6L余る計算) | 9,142円 |
| 40L程度 | 3,753円 | 3箱(56.4L、約16.4L余る計算) | 12,588円 |
| 60L程度 | 3,753円 | 4箱(75.2L、約15.2L余る計算) | 16,584円 |
| 80L程度 | 3,753円 | 5箱(94.0L、約14.0L余る計算) | 20,580円 |
※dewo miniの料金は、その月に注文する箱数が3箱未満だとレンタル料550円がかかり、3箱以上だとレンタル料が0円になる仕組みを反映しています。
※参考までに、市販のペットボトル(2Lケース買いで1本あたり約120円が目安)や水道水(1Lあたり0.2〜0.3円程度が目安)は、これらとは桁違いに安くなります。あくまで参考値としてご覧ください。
見ての通り、どの使用量帯でもevery frecious miniの定額3,753円の方が、dewo miniより大幅に安くなっています。これは天然水型が「箱単位でしか買えない」ため、必要量ちょうどでは買えず、常に一段階多い箱数を購入することになるからです。
では、どこまで使用量が少なければ天然水型が逆転するのか、理論上の目安を計算してみると、dewo miniのコスト(水代+レンタル料+電気代)とevery frecious miniの定額3,753円が釣り合うのは、1L単位で連続的に購入できると仮定した場合、月あたり約12.2Lという計算になります。ただし実際のdewo miniは18.8L(1箱)単位でしか買えないため、この12.2Lちょうどを狙って注文することはできません。
ここで重要なのは、先ほど見た「一人暮らし・飲用のみ=月14L程度」という目安です。この14Lという使用量は、すでに理論上の損益分岐点(約12.2L)を超えています。つまり、
- 一人暮らしで飲用のみなら、月14L程度必要
- でもdewo miniは最低1箱=18.8L単位でしか買えない
- 14L分しか使わなくても18.8L分を購入することになり、水が余る
- そこにレンタル料・電気代も上乗せされる
- 結果として、”飲むだけ”の一人暮らしでも、天然水型より浄水型の定額の方が安くなりやすい
という流れになります。「使用量が少ない一人暮らしほど天然水型が向いていそう」という直感とは逆に、今回比較したdewo miniでは、少量利用ほど「箱単位で余りが出る」ため、浄水型の定額制が有利になりやすい、というのがこのシミュレーションから見えてくる結論です。これはdewo miniという具体的な条件(1箱18.8L単位・レンタル料の仕組み)のもとでの結果であり、「天然水型は全般的に高い」という話ではない点には注意してください。契約単位やレンタル料の仕組みはメーカーによって異なるため、実際に検討する際は各社の条件を確認するのが確実です。
もちろん、天然水そのものの味や採水地にこだわりたい方にとっては、多少割高でも天然水型を選ぶ理由は十分にあります。あくまで「費用だけで見た場合」の話として捉えてください。
自分の使用量を測る方法
ここまでは目安となる使用量モデルで説明してきましたが、実際の使用量は当然、人によって違います。契約前に、自分がどれくらい水を使っているか、簡単に把握しておく方法を紹介します。
やり方は簡単で、3日間、「もしウォーターサーバーがあったら、そこから使うであろう水」だけを対象に、口にしたりお湯を沸かしたりするたびにおおよその量をメモしておくだけです。ジュースやお酒など、サーバーの水を使わないものはカウントしません。例えば「朝の水200ml、コーヒー150ml、昼に500mlペットボトルの代わりに500ml、夜の水400ml、コーヒーもう1杯150ml、料理に500ml」というように記録し、3日間の合計を出して10倍すると、1か月あたりのおおよその使用量が見えてきます(1か月は約30日のため、3日間×10で概算する考え方です)。
この方法は、正確な消費量を測るためのものではなく、あくまで自分の生活パターンをざっくり知るための目安です。3日間だけでも記録してみると、「思ったよりコーヒーを飲んでいた」「休日は料理に使う分が増える」など、自分では気づいていなかった傾向が見えてくることがあります。
まとめ: ウォーターサーバーを選ぶ前に、水を選ぶ
ウォーターサーバーというと、つい「どのメーカーがいいか」「どのモデルが人気か」といった商品選びから考えてしまいがちです。ですが、今回見てきたように、浄水型と天然水型では料金体系がまったく違い、しかも自分の使用量によって有利不利がはっきり変わってきます。
目安として、次のように考えてみてください。
- 使用量が多い、またはコーヒー・料理にもしっかり使いたい方 → 定額で使い放題の浄水型が有利になりやすい
- 天然水そのものの味や採水地にこだわりたい方 → 費用が多少上がっても天然水型を選ぶ価値がある
- 使用量がかなり少ない、または「そもそも毎日水を使う習慣がない」という方 → ウォーターサーバー自体が本当に必要かを、もう一度考えてみる価値がある
そもそもウォーターサーバーが自分の生活に必要かどうかは、こちらの記事でも詳しく整理しています。「必要そうだ」と思えたら、次は今回の使用量の考え方をもとに、浄水型と天然水型どちらが合うかを具体的に比較してみるとよいでしょう。
「どのメーカーにするか」を決める前に、「自分は月に何Lくらい水を使うのか」を知ること。これが、ウォーターサーバー選びで遠回りをしないための、一番の近道です。


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