ウォーターサーバーの年間コストは高い?安い? ペットボトル・浄水器と比較してわかる、有利になる条件

コストを計算する

「ウォーターサーバーは結局、ペットボトルや浄水器より高いんでしょう?」

そう聞かれたら、答えは「はい」でもあり「いいえ」でもあります。実は、どのくらいの水を使うか、そしてどんな条件で計算するかによって、答えは変わります。

この記事では、①ペットボトル、②浄水器、③浄水型ウォーターサーバー、④宅配型ウォーターサーバーの4つの選択肢について、年間コストを条件つきで比較します。どこかで「サーバーがお得です」と結論づけるためではなく、「あなたの使用量なら、どれがどのくらい有利か」を判断できるようになることが目的です。

先に結論を一つだけお伝えすると、今回の試算条件(代表的な商品・単価を1つずつ決めた条件)では、コストだけを見ると多くの使用量帯で浄水器がもっとも安く、次いでペットボトルが安いという結果になりました。ウォーターサーバー(特に宅配型)がコストで有利になるのは、かなり使用量が多い場合に限られます。ただし、これは「サーバーを選ぶ意味がない」という話でも、「浄水器なら何でも安い」という話でもありません。前提が変われば数字も変わるという点、そしてコスト以外の判断材料についても、この後で正直に整理します。

① まず、料金の仕組みの違いを知る

年間コストを比較する前に、4つの選択肢がそもそも違う料金の仕組みを持っていることを確認しておきます。これを飛ばして「年間○○円」という数字だけを比べると、誤解しやすくなります。

選択肢料金の仕組み使用量が増えたときの動き
ペットボトル完全従量制使った分だけ、1本単位で増える(比例)
浄水器初期費用+従量制本体代は固定、カートリッジ代が使用量に応じて増える
浄水型ウォーターサーバーサーバーの月額レンタル料は定額使用量が増えても、サーバーのレンタル料は変わらない(水道代・電気代は別途)
宅配型ウォーターサーバー箱単位の従量制使用量が増えると、一定量ごとに「もう1箱」という形で段階的に料金が増える
4つの選択肢の料金の仕組みの違い(PC用)

この違いが重要なのは、「定額制のサーバーは使うほど得」という説明が、実は浄水型にしか当てはまらないからです。宅配型は箱単位でしか買えないため、使用量が半端だと「1箱分損している」状態になりやすい仕組みです。逆に浄水器やペットボトルは使った分しかかからないので、使用量が少ない人には有利に働きます。

② この記事の計算条件

比較を始める前に、数字の出どころと、使用量の代表値をどう決めたかを明記します。ここが曖昧だと、比較そのものの意味がなくなってしまうためです。

情報源のラベルについて

本文中の数字には、以下の3種類のラベルをつけています。

  • 【公式情報】:メーカー・サービスの公式サイトに記載されている数値をそのまま使用
  • 【独自計算】:公式情報をもとに、当サイトで計算式を当てはめて算出した数値
  • 【推定・概算】:公式サイトに明記がなく、一般的な市場相場や第三者の試算をもとにした、幅のある目安

使用量の代表値について

このサイトの一人暮らしにウォーターサーバーはいらない?という記事では、1日の使用量を「500ml以下」「500ml〜1.5L」「1.5〜2L」「2L以上」の4区分に分けて診断しています。この記事でも同じ区分をそのまま使い、区分の境界の値を計算のポイントにしました。

具体的には、1日あたり「500ml」「1L」「1.5L」「2L」の4点に加えて、「2L以上」の区分が青天井にならないよう、参考として「3L」を追加した、合計5つの計算点を使います。

境界値をそのまま使う理由は、区分の中の1点だけを「代表値」として選ぶと、その選び方によって結論が変わってしまうためです。境界値であれば、「500ml〜1.5Lの区分なら、500mlの結果と1.5Lの結果の間になる」という形で、区分全体の幅を読み取ることができます。

なお、1日あたりの水量を1ヶ月分に換算する際は「1日の量×30日」としています(500ml/日→月15L、1L/日→月30L、1.5L/日→月45L、2L/日→月60L、3L/日→月90L)。

③ 使用量別・年間コスト早見表

上記の5つの計算点について、4つの選択肢の年間コストをまとめました。

前提とした商品・単価

浄水器は種類(ポット型・蛇口直結型)や機種によってカートリッジ単価が大きく異なるため、「浄水器全般の平均」という置き方はせず、代表モデルを1つ決めて試算します。今回はポット型の代表例として「ブリタ マレーラ」を使いました。

  • ペットボトル:2Lあたり80〜120円という前提【推定・概算、電気代の記事・使用量の記事でも使用した想定と同様】
  • 浄水器(ポット型代表:ブリタ マレーラ):本体価格 約5,400円【公式情報に基づく実勢価格、価格.com調べ】+交換カートリッジ「マクストラプロ ピュアパフォーマンス」3個入り3,887円=1個あたり約1,296円、ろ過容量150L/個=1Lあたり約8.6円【公式情報】。本体の使用年数は明記がないため2〜4年と仮定して償却しています【推定】
  • 浄水型ウォーターサーバー:every frecious mini基準、月額3,300円+電気代目安453円=月3,753円(使用量に関わらず一定)【公式情報】。水道料金は含めていません(FRECIOUS公式FAQによると水道水は1Lあたり約0.2〜0.3円が目安で、年間では数百円程度の差にとどまります)
  • 宅配型ウォーターサーバー:dewo mini基準、1箱18.8L=3,996円、レンタル料は当月0〜2箱なら550円・3箱以上なら0円、電気代600円/月【公式情報】

なお、蛇口直結型の浄水器は機種によってカートリッジ単価がさらに高いものもあります(例:パナソニックの一部機種では交換目安1年・月10L使用でカートリッジ4,556円、1Lあたり約38円という製品もあります)。「浄水器=安い」と一括りにはできず、機種によって差が大きいことは押さえておいてください。

使用量1日あたり/月換算ペットボトル浄水器ブリタ マレーラ代表浄水型サーバー宅配型サーバー
500ml月15L約5,400〜8,100円約2,900〜4,300円45,036円61,752円
1L月30L約10,800〜16,200円約4,500〜5,900円45,036円109,704円
1.5L月45L約16,200〜24,300円約6,100〜7,400円45,036円151,056円
2L月60L約21,600〜32,400円約7,700〜9,000円45,036円199,008円
3L月90L・参考約32,400〜48,600円約10,800〜12,200円45,036円246,960円

※浄水型サーバーは【公式情報】、ペットボトル・宅配型サーバーは【独自計算】(公式単価から算出)、浄水器はカートリッジ単価は【公式情報】・本体の耐用年数の仮定を含む部分は【推定・概算】です。

この表だけを見ると、「浄水器(ブリタ マレーラ基準)が常に一番安い」ように見えます。実際、今回の試算条件ではその通りです。ただし、これは「浄水器を使えばいい」という結論を急ぐためではなく、あくまで今回の代表モデルでの試算結果です。次の章で、どのくらいの使用量からサーバー側が近づいてくるのか、条件つきで見ていきます。

④ どの使用量から有利不利が入れ替わるか

4つの選択肢を1対1で比べたときに、今回設定した条件では、どのあたりで有利不利が入れ替わるかを示します。いずれも【独自計算】であり、「今回の試算条件における目安」である点に注意してください。前提(単価・機種)が変われば、この数値も変わります。

どのくらい使うと有利不利が入れ替わるか(PC用)

浄水器(ブリタ マレーラ基準) vs ペットボトル:浄水器はカートリッジ代(1Lあたり約8.6円)がペットボトルの実質単価(1Lあたり約30〜44円)よりかなり低いため、その差額(1Lあたり約31〜51円)で本体代(約5,400円)を回収できます。回収にかかる期間は使用量によって変わり、500ml/日なら約11〜17ヶ月、1L/日なら約5〜9ヶ月、1.5L/日なら約4〜6ヶ月、2L/日なら約3〜4ヶ月が目安です(今回の試算条件における目安)。使用量が多いほど回収は早くなりますが、少量利用の場合は1年前後かかることもあり、「数ヶ月で必ず安くなる」とは言えません。回収後は、今回の代表モデルではどの使用量帯でも浄水器が有利という結果になりました。

浄水型サーバー vs ペットボトル:浄水型サーバーの年間45,036円をペットボトルの単価で割ると、今回の試算条件における目安として、1日あたり約2.8〜4.2Lが一つの損益分岐ラインになります(ペットボトルの単価をいくらと見るかで変わります)。家族の合計や来客対応などでこのラインを超えるようなら、浄水型サーバーのほうが安くなる可能性があります。

浄水器(ブリタ マレーラ基準) vs 浄水型サーバー:浄水器が浄水型サーバーより高くなる逆転ラインを計算すると、今回の試算条件における目安として、1日あたり約13〜14Lという、一般的な家庭では考えにくい使用量になりました。今回の代表モデルで見る限り、コストだけでは浄水器が浄水型サーバーに負ける場面はほぼないという結果です。ただし、これは蛇口直結型など単価の高い浄水器を使った場合には当てはまらない可能性があります(前述のとおり、機種によってはカートリッジ単価が1Lあたり30円を超えるものもあります)。

コストの観点だけでなく、お湯・冷水の使いやすさや天然水へのこだわりまで含めて浄水器とウォーターサーバーを比較したい場合は、ウォーターサーバーと浄水器はどっちがいい?料金だけで決めない選び方もあわせてご覧ください。

浄水型サーバー vs 宅配型サーバー(miniクラス同士):今回の前提(every frecious mini/dewo mini)では、宅配型サーバーの最安月額(1箱・レンタル料込みで5,146円)が、浄水型サーバーの月額3,753円を常に上回ります。つまり、この2商品を比べる限り、宅配型サーバーがコストで浄水型サーバーを下回ることはありません。

ここは誤解のないように補足します。これは「dewo miniとevery frecious miniという、どちらも卓上のコンパクトタイプ同士」を比べた結果です。大容量パックや家族向けプランなど、別の宅配型プランであれば結果が変わる可能性があります。「宅配型は常にコストで不利」という一般化はできません。

宅配型サーバー vs ペットボトル:宅配型サーバー(dewo mini)の最安月額をペットボトルの単価で割ると、今回の試算条件における目安として、1日あたり約3.9〜5.8Lが逆転ラインになります。一人暮らしや二人暮らしでこの量に届くことは少なく、今回のdewo miniの条件では、ペットボトルより有利になるにはかなり多くの水を使う必要があります。

⑤ コスト以外の判断材料

ここまでの試算で、「コストだけを見るなら浄水器やペットボトルが有利で、サーバーが有利になるのはかなり使用量が多い場合に限られる」ということが見えてきました。それでも宅配型・浄水型のサーバーが選ばれているのは、コスト以外の理由があるからです。どちらが優れているという話ではなく、何を重視するかで結論が変わる、という前提で読んでください。

  • 温水・冷水がすぐ使える:ウォーターサーバー(浄水型・宅配型とも)は、温水・冷水をすぐ使える機種が多く見られます。お湯を沸かす、冷蔵庫で冷やすといった「待ち時間」を減らせる点は、コストには表れない時間の差です(機種によって仕様は異なるため、検討時は個別に確認してください)。
  • 水道工事が要らない:浄水器の中でも蛇口直結型は取り付け工事や賃貸物件での制約が出ることがあります。ウォーターサーバーは電源さえあれば設置でき、賃貸でも導入しやすいという条件面の違いがあります。
  • 備蓄・非常時の在庫にできる:宅配型サーバーは未開封のボトルをそのまま備蓄水として保管できます。ペットボトルも同様に備蓄できますが、浄水器は水道が止まると使えなくなります。
  • 味や採水地へのこだわり:天然水にこだわりたい場合、宅配型サーバーは採水地を選べる商品もあります(詳しくは6社を比較した記事を参照)。浄水器・浄水型はもとの水道水の味が土台になります。
  • 置き場所の制約:卓上型・床置き型でサイズが変わるため、置ける場所によって選択肢が絞られることがあります(詳しくは置き場所の記事を参照)。

コストと時間・手間の両方を、選択肢ごとに並べると次のようになります(◎○△×は相対的な目安です)。

比較ポイントペットボトル浄水器浄水型サーバー宅配型サーバー
買い物の手間の少なさ△◎◎○配達
ゴミの少なさ△◎◎○
冷水のすぐ使いやすさ△△◎◎
温水のすぐ使いやすさ××◎◎
水の補充・交換の手軽さ◎○△水道水の補充△ボトル・パックの交換
備蓄のしやすさ◎△△◎
天然水を選べるか×××水道水ベース○

コストの表だけを見て決めるのではなく、この表と合わせて、自分にとって譲れない条件があるかどうかも考えてみてください。

⑥ 自分の場合で考えるには

「自分が1日にどのくらい水を使っているか分からない」という方は、月に何L使う?の記事で紹介している3日間トラッキングの方法が参考になります。

「子育て中で、家族の使用量やミルク作りなどの事情も絡んでくる」という方は、子育て家庭にウォーターサーバーは必要か、生活シーンごとに確認できる記事もあわせてご覧ください。

レンタル料そのものが負担という方には、レンタル料・初期費用0円で水代のみという料金体系のアクアリーヴ(日田天領水)のようなサーバーも選択肢になります。3年未満での解約に返送料がかかるなど条件もあるため、契約前に公式サイトで確認してください。

コストだけでなく「手間」の面から比較したい方はペットボトルとサーバーの比較記事、そもそも水道水のままでいいか迷っている方は水道水のままでいいか考える記事、宅配ミネラルウォーターの定期便と比較したい方は定期便との比較記事もあわせてご覧ください。

まとめ

  • ペットボトル・浄水器・浄水型サーバー・宅配型サーバーは、料金の仕組みそのものが違うため、単純な「年間○○円」の比較だけで結論を出すのは危険です。
  • 今回、浄水器はポット型の代表モデル(ブリタ マレーラ)を基準に試算しました。その条件では、コストだけを見ると浄水器がもっとも安く、次いでペットボトルが安いという結果になりました。サーバー(特に宅配型)がコストで有利になるのは、使用量がかなり多い場合に限られます。ただし、機種が変われば(特に単価の高い蛇口直結型など)結果は変わり得ます。
  • 水道工事の要否・備蓄のしやすさ・味へのこだわり・置き場所、そして温水・冷水がすぐ使えるという時間の差など、コスト以外の条件で選ぶ理由も十分にあります。
  • 大切なのは「サーバーが得か損か」を一言で決めることではなく、自分の使用量・使う機種の前提・何を重視するかを踏まえて判断することです。

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